家族・友人と工夫する
関節リウマチ生活

第1回 食事編

監修:東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 
准教授 中島 亜矢子 先生

良質なたんぱく質を毎日摂って、筋肉を元気にしましょう!

もともと筋肉は、年齢を重ねるにつれ徐々に減少していくものです。しかし、関節リウマチの患者さんの場合は、特に筋肉が減少しやすいといわれています。それは、発熱や関節の炎症によって、たんぱく質の分解が活発になったり、痛みで運動量が減ってしまうからです。関節リウマチの患者さんが健康な筋肉を保つためには、筋肉をつくるのに不可欠なたんぱく質を、毎日さまざまな食材から摂ることが大切です。良質なたんぱく質は、肉、魚、大豆製品、乳製品などに多く含まれています。

調理例

豆腐ステーキ

良質なたんぱく質が豊富な肉と豆腐に、カラフル野菜をプラス

青魚に含まれる脂肪分は、関節の炎症を抑える効果が期待できます

さんま、いわし、ぶり、にしん、あじなどの青魚の脂に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)には、関節の炎症を抑えてくれる働きがあるといわれています。さらに、青魚には良質なたんぱく質も豊富に含まれており、関節リウマチ患者さんにおすすめの食材です。

調理例

さんまのトマト煮

青魚に彩りきれいなトマトを加え、おしゃれなイタリアンとして調理

骨粗しょう症の予防には、カルシウムを上手に摂ることが大切です

関節リウマチの患者さんは、骨粗しょう症に注意が必要です。これは、関節リウマチの治療薬であるステロイドの副作用によって、腸でカルシウムが十分に吸収されなかったり、カルシウムが尿と一緒に体の外に排泄されてしまうからです。さらに、痛みや関節の動きが制限されることで運動量が減ると、骨から血液中にカルシウムが溶けだしやすくなり、骨が弱くなってしまいます。骨粗しょう症を予防し、健康な骨を保っていくために、まずは乳製品や小魚などのカルシウムの多い食材をしっかりと摂ることが大切です。しかし、ただカルシウムを摂るだけでは体内へ効率よく吸収されないので、次のポイントを参考にしましょう。

カルシウムを効率よく摂るポイント

  • カルシウムの吸収を助けるビタミンD(きのこ類)や、骨の形成に重要な働きをするビタミンK(納豆など)を一緒に摂る
  • ビタミンDは、適度に紫外線を浴びることによって力を発揮するので、散歩など日光を浴びる機会をつくる
  • 関節リウマチ患者さんのための体操など、適度な運動で骨に刺激を与えることで、カルシウムを骨に沈着させる

貧血にならないために、しっかりと鉄分を摂りましょう

さらに、治療中に起こりやすいのが貧血。貧血を予防するには鉄分を積極的に摂ることが大切です。鉄分が多く含まれる食材には、肉、魚、卵、大豆、緑黄色野菜、海藻などがあります。鉄分は、ビタミンCや動物性の食品と一緒に摂ることで吸収がよくなります。

ビタミンCの多い食品

パセリ、ブロッコリー、赤ピーマン、柿、オレンジなど

調理例

ブロッコリーの卵とじ汁

食欲がないときでも手軽で食べやすい、
ブロッコリー入り卵とじ汁

コラム

葉酸入りの健康食品には注意しましょう

リウマチの薬(メトトレキサート)の副作用を防ぐために、葉酸という薬が処方されることがあります。しかし、自己判断で葉酸入りのサプリメントや青汁などの健康食品を使用することは葉酸の摂り過ぎとなり、かえってメトトレキサートの効果を弱めてしまう場合があるので避けましょう。菜の花、ほうれん草、枝豆などの野菜は葉酸を多く含みますが、通常の食事としての摂取量であれば問題ありません。

関節リウマチの患者さんが、積極的に摂った方がよい食材

  食品 食べるときのポイント
良質なたんぱく質が豊富な食材 鶏肉、豚肉、魚、牛乳、チーズ、大豆、納豆 など 青魚はたんぱく質以外に、抗炎症作用のあるEPAも多く含まれている
カルシウムが豊富な食材 牛乳、チーズ、ヨーグルト、干しえび、煮干し、水菜、小松菜、厚揚げ、高野豆腐、切干大根 など ビタミンDを含む食品と一緒に摂れば吸収率が上がる。適度に日光に当たるようにする
ビタミンDが豊富な食材 レバー、卵黄、いわし、しらす、さけ、さんま、干ししいたけ、きくらげ など カルシウムの腸からの吸収を助ける
鉄分が豊富な食材 レバー、卵、牛乳、あさり、しじみ、大豆、菜の花、ほうれん草、ひじき、のり など ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ることで、吸収率が上がる
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